私の主張;人生100年時代の国家戦略

 超高齢化と少子化が進む我が国で、今まさに新しい国家戦略が求められています。その国家戦略は人種や宗教を超え、自由で平等な「開かれた日本」を基軸とする社会を目指すことが重要です。これまではわが国は島国として、あまりにも閉鎖的で単一民族・純潔主義であることを求めてきました。

 持続可能な医療や介護保険、年金制度の抜本的改革に取り組み、財政の健全化を図ると同時に、女性や高齢者が希望に応じて何歳になっても働け、同一労働・同一賃金の原則を守り、働きながら社会貢献できる社会を実現することが大切です。同時に、AIやIOTの進化に伴い変わりゆく社会のニーズを充足するキャリア研修や職業訓練の場を提供することや、高い労働市場の流動性を確保することが大切です。

 雇用延長法の実施で事実上の定年延長(60歳から65歳へ)が進んだことから65歳まで働くシニアの割合は10ポイントも増加してきています。政府更に選択的に70歳まで働ける環境を整備しつつあります。しかしながら、定年制度を廃止し、健康で働く意欲のある人には年齢にかかわらず、労働市場を開放する、より自由な働き方改革が望まれます。

 また、50歳を超えれば、ワークライフ・バランスを求め、働きながら社会貢献や地域社会へのデビューを実現できる働き方への環境整備や、個人個人の自律と人生100年時代のしなやかな人生設計が求められています。サバティカルを利用しての「自己投資」で自らの未来を切り開く努力も必要になります。残念ながらこれまでの終身雇用制度の中で、わが国の大企業は優秀な学卒を自社に留め、多くのサラリーマンは自律することが少なく、結果的に社内のシニア層の潜在能力は活用されず、社会的ロスとなっています。

 一方、日本に活躍の場を求める多くの優秀な海外の若者に積極的に学びや労働の場を開放し、そのための環境整備を急ぐべきです。今、先進国間では優秀な留学生や、技能労働者、ハイテク頭脳技術者の獲得競争は熾烈になっています。ここでも日本の高等教育の場では英語での授業は少なく、海外からの留学生の質はそれが故に劣っていると言わざるを得ません。また、外国人留学生の日本企業での就職を見ると定着率は低く、十分にその能力を活用できていません。

 政府は労働力不足対策として外国人技能労働者を積極的に受け入れる政策を取り始めました。しかしながら、入管規則があまりにも非人道的であり、また、外国人労働者と日本人との間に賃金格差が出るようだと海外から批判され、優秀な人材獲得競争に負けることにもなります。労働力不足を一時的に凌ぐための場当たり的対策は日本市場の閉鎖性に批判が集まるだけです。

 日本の大学や企業社会は教師や企業経営者に世界の頭脳を積極的に招聘し、英語で学び、働くための開かれた環境も整備することが大切です。勿論、来日外国人は日本語や日本の歴史や文化を学ぶことは必須です。AIやIOTの最先端分野での人材獲得競争は熾烈で、言葉の壁を越えてでも戦略的に勝ち抜く対策も必要です。明治期以降の日本の飛躍的発展は日本人の勤勉さと教育水準の高さから生まれました。今こそ、これからの更なる発展のため、開かれた日本の実現に努める時です。

 さて、今回は私の主張の中で「働きながら、社会貢献する」生き方について2019年9月10日(火)公益財団法人さわやか福祉財団が主催する「いきがい・助け合いサミットin大阪」(会場;大阪府国際会議場)でのシンポジュームにおいて発言予定の概要を取りまとめましたのでご案内方々添付します。

9月10日(火)パネルディスカッション 発言要旨

認定NPO法人プラチナ・ギルドの会の理事長の奥山です。「シニアが動く。日本が変わる。」を標語に、ビジネス・パーソンとその卒業生が中心となり、現役時代に培った経験とスキルを活かし、各種の社会貢献活動を実施しています。主な活動は、毎月の例会、社会で活躍されているシニアの顕彰(アワード)、企業内シニアの気づきセミナー(アカデミー)、「50歳にもなれば社会貢献を!」の啓蒙(アドボカシー)活動等が中心です。また、会員の中には多くのNPOの理事長さんもおられますので、そのNPOとコラボし、彼らの支援活動も行っています。また、私自身は認定NPO法人サービスグラントの特別顧問などを務め、日本の未来を担う若手社会起業家の支援・育成活動にも携わっています。

超高齢化が進む我が国の社会課題に挑戦し解決していくためには、自治体やNPOは勿論ですが、個人や企業の意識変革を促し、積極的に社会課題にチャレンジする必要があります。特に、これからは会社人生の中で培った知恵を生かし、働きながら社会貢献・ボランティア活動を両立させ、社会デビューをするような生き方が大切です。そして第一線を退いたシニア世代は社会への恩返し活動を前向きに取り組むことが、自らの生きがいや居場所をつくり、自己実現の場ともなるのです。

五木寛之さんの近著「白秋期」-地図の無い明日への旅立ちーによれば、人生100年時代には、25年ずつの区切りを付ければ、青春、朱夏、白秋、玄冬の四つの時期となります。白秋期は50歳から75歳で人生の収穫期であり、この時期をどのように生きるかを上手に設計することで人生の黄金時代を刈り取ることが可能になります。勿論、個人差を考慮すれば、白秋期は50歳から80歳を超える人もいるわけです。人生は有限ですから、いずれ最後の時を迎えます。可能な限り「支援される側より、支援する側」でありたいものです。

さて、プラチナ・ギルド アワードは現役時代の経験やスキルを活用し社会貢献するシニアを毎年5-6名顕彰し、同時代や続く世代のロールモデルとなっていただくことが目的ですが、来年は第7回目になります。受賞者の活動を知り、交流を深めることで、私たちにとっても貴重な学びの機会にもなっています。多くの応募者や受賞者の皆さまに活動を始められた動機についてお聞きすると、現役時代から問題意識をお持ちになっていた方々が多いことに驚かされました。そのような意味で、なかなかハードルは高いのですが、40-60代の現役企業人に「気づきセミナー」を開催することは意義があります。また、個人や企業関係者への啓蒙活動も大切です。課題が大きいだけにやりがいもあり、ファイトが湧いてきます。

認定NPO法人プラチナ・ギルドの会 理事長 奥山俊一