「新型コロナとの共生」に想う

–「企業版ふるさと納税」の推進について–
認定NPO法人プラチナ・ギルドの会 理事長 奥山俊一

写真は「企業版ふるさと納税」の推進のための新会社River社を立ち上げた小坪拓也さん(右下)とZoom会議中(5/18) 。

私たちプラチナ・ギルドの会では、3月以降の例会は「三密」を避ける意味で毎月の例会開催を中止し、5月26日には、ビデオ会議システムでバーチャル例会を開催いたします。この間はリアルの諸会合を避け、諸事業の打ち合わせは全てビデオ会議で行ってきました。政府は明日にも専門委員の指導を受け、首都圏でも緊急事態宣言を段階的に解除し、「新しい生活様式」に基づき、経済の復興に向かって始動します。ワクチンが開発されるまでの1-2年間は「ウイルスと共存」を余儀なくされますが、私達はポスト・コロナの新しい社会においてもシニア世代の社会的責任を自覚し、社会貢献に努力して参りたいと考えています。

この間、日常の手洗い、うがい、マスクの着用等、日本の伝統的な文化・生活様式がウイルスにレジリアントであったことを知ると同時に、わが国は日常生活におけるITの活用、在宅勤務、学校における通信教育等の面では、先進国対比大きく遅れを取っていることにも気づかされました。また、台湾、韓国、シンガポール等の新型コロナに対する対応には学ぶべきことが多いように思います。特に自治体におけるデジタル対応の遅れには正直驚かされます。住民基本台帳の電子化の失敗に始まり、マイカードの導入も未だ進んでいません。住民宛還付金を郵便で申請させ、マイカードの利用を避けてほしいとの自治体の対応にも驚かされます。保健所からのPCR検査の市・町・村役場への報告が未だファックスだというのも時代錯誤です。

処で、4月1日から「企業版ふるさと納税」の制度が延長され、内閣府の認可を得た自治体の「地域創生計画」への企業寄付については今般大幅に税制優遇されることになりました。新制度に基づく、令和二年の第一回内閣府宛申請は先週末期限で、認可案件は7月中旬ごろに発表の予定と承知しています。内閣府は令和元年の申請分の認可を本年3月31日付けで公表しています。その内容は新規分495件、更新認可92件、合計587件となっています。内容を見ると多くの案件が総花的で、企業が何故これ等の案件に寄付する理由があるのか私には理解できません。

私は「企業版ふるさと納税」の仕組み自体は素晴らしいものであると考えています。リーダーシップを発揮して市・町・村長が真剣で、熱意ある、具体的な地域特性を生かした地域創生計画に対し、地域社会の構成要素でもある企業の経営者がSDGsの観点からも支援を惜しむべきではないと考えています。新型コロナ蔓延ですべての住民や企業が大きな痛手を受けている時だからこそ、地域社会を前向きに変えようとする計画を支援することは企業の株主の納得感が得られると考えます。逆に言えば、認可案件が総花的で具体性に欠けるものであれば企業経営者は寄付に対する説明責任を問われることになります。即ち、これまで政府が進めてきた地方創生計画(まち・ひと・しごと創生総合戦略)の失敗を繰り返すことになります。

我が国の出生率は1973年の209万人をピークに減少し、2019年には団塊ジュニアの半分にも満たない86,4万人となっています。また、最近時点では急速な労働力人口の減少を女性・高齢者・外国人の労動力で賄ってきました。ところがこの追加的な労働力も天井感があり、これからは本格的な人手不足時代に突入します。すべての企業でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が叫ばれる由縁です。ITやロボット、ビッグデータを活用したAI化が一挙に進展する好機でもあります。我が国の一次産業(農・林・水産業)はテクノロジーの導入に遅れ、世界的にも競争力を失っています。その意味では日本の田舎のあり方が大きく変わるチャンスでもあります。日本の大手企業は優秀な人材を囲い込んでいますが、今後の働き方改革で、スキルを有する人たちの副業解禁が進めばクラウド・ワークにより地方企業の頭脳不足を補うことが出来るでしょう。また、社会起業家や、農・林・水産業における起業家を育成することにより付加価値の高い仕事を増進することが可能です。

より具体的には、これまでにお付き合いのある地域創生に努力する各地のNPO法人や日本総研をはじめとする総研や地方の大学、研究機関とのコラボを推進します。大企業の新入社員教育を北杜市の耕作放棄地開墾ビジネスで実現するNPO法人えがおつなげて、また同NPOの農村起業家育成塾や、日本で本格的に社会課題をビジネスの手法で解決する社会起業家集団であるボーダレス・ジャパンや、同社が運営する社会起業家育成アカデミー等と協力して、真に地方創生に貢献するプロジェクトを積極的に支援してまいります。ポスト・コロナの時代に、日本の未来に明るい光明を生み出すために、私たちは社会的インパクトを生み出す自治体と企業経営者の皆様のコラボを是非実現したいと考えています。