高齢社会白書に思う

65歳以上の高齢者が人口全体に占める比率を「高齢化率」と呼んでいますが日本は諸外国に比し圧倒的に高い超高齢化社会となっています(2013/10に25,1%)。その比率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」と定義されています。日本では1970年に高齢化社会へ、1994年に高齢社会へ突入しました。その間僅か24年で西欧諸国に比し、著しく短くなっています。アジア諸国でも中国は25年、シンガポールは20年、韓国は18年とさらに縮小し、アジア地域での高齢化のスピードは速まっています。これは少子化と長寿化が同時進行しているためですが、その社会の変化のスピードに年金制度や医療・介護制度などの社会諸制度の整備は追いついていません。
我が国では80年代に徐々に60歳定年への移行が行われ、現在は年金受給年齢の引き下げに対応する形で、実質定年の延長が段階的に65歳へと延長されています。労働力人口の減少から、韓国では昨年60歳定年への移行が決まり、最近インドネシアでも同様の発表がなされました。
我が国に比し一人当たり所得水準が低く、諸制度の整備が不十分なアジア諸国の高齢化はより悲惨な状況を惹起する可能性を秘めています。医療・介護、年金制度等の持続可能な制度設計や、自治体や市民活動によるソフト面の支援の仕組み等は、財源に限りがあるこれらの国ではより注目し事前に研究しておくべきです。

最近の新聞やTV報道などを見ていますと、超高齢化社会をいかに乗り切るかという話題に事欠きません。本日の朝日新聞は1979年に第一期の入居が始まった、横浜「若葉台団地」(東京ドーム19個分、75棟、人口15,000人)の様子を報じています。人口65歳以上が全体の35%を超え(市内平均の1,7倍)、迫りくる孤独死や痴呆症患者の増加を懸念し、地域を包括するケア・システムの構築を検討し始めています。「若葉台団地」の例は日本全体からみると新しい事例かもしれません。より早く大規模開発が進んだ多摩ニュータウン〈東京〉や千里ニュータウン〈大阪〉の例、地方都市の高齢化はより厳しい状況にあることが容易に想像出来ます。
高齢化社会の課題に対応するため、主治医の制度化、医療や介護のトータル・ケア・システムの確立は勿論のことですが、コミュニティーの崩壊により地域や団地内での居住者の状況把握すら難しくなってきている今、公的支援の限界は目に見えています。NPOや社協、自治会や町内会等を総動員し孤独死対策、徘徊老人の見守り等の体制を整備する必要があります。これらの社会的課題に市民活動が継続的に力を発揮するためには単なる無償のボランティアに依存するのではなく、「社会的企業」(ビジネスの手法で永続的事業として成立する仕組み、但し私企業ながら定款で社会貢献活動を明記させる)の概念を導入することも検討すべき課題です(英国や韓国では2006年に既に導入済み)。

さて最近、内閣府は26年度版の「高齢社会白書」を公表しました。

平成26年版高齢社会白書(概要版)

この白書は毎年更新されていますが、第三節―高齢期に向けた「備え」に関する意識の中で、65歳を超えても働くことを希望する人が約半分いることを発表しています。その動機に経済的理由、生き甲斐、友達造り等を挙げていますが、健康な高齢者が増え、長寿社会が広がっているわけですから当然のことです。問題はこれらの高齢者が働く職場をどのように創造するかにかかっています。また、40-50代から高齢になっても現業で活用できるスキルをどのように身に付けさせるかにかかっています。この点、白書の毎年の高齢者対策の枠組み、施策の実施状況を見ると厚労省の本気度を疑いたくなります。

NPOプラチナ・ギルドの会で企業と協働して、企業内シニア層の「気づきセミナー」の実施を検討しているのはこの辺りにその理由があります。