NPOの経営支援をする、ボード・マッチ

プラチナ・ギルドの会が自主団体として産声を上げたのは2012年6月、法人として設立されたのは2013年10月のことです。プラチナ・ギルドの会を創立する前に、私は現役を引退後少しでもこれまでお世話になった社会に恩返ししたいと考え、新しいボランティアの形、プロボノの手法に興味を持ち、NPO法人サービスグラントのお手伝いを始めました。日本におけるプロボノ活動の定着、進展を見るにつけても、現役世代のボランティア意識の高さに深く感心すると同時に、これからは元気で活動的なシニア(アクティブ・シニア)が一人でも多く社会参画・社会貢献することが大切であるとの思いに至り、プラチナ・ギルドの会の構想を持ち始めたわけです。

NPOサービスグラントは米国のプロボノ仲介を専業とするNPO組織〈Taproot社〉のビジネス・モデルを日本に導入、そのモデルを更に進化させ、我が国のプロボノ仲介NPOのリーダーとして活躍しています。ボランティアの形態はいろいろありますが、社会で活躍中のビジネス・パーソンが自分の持てるスキルを活用し社会貢献する仕組み(プロボノ活動)は、効率的なボランティアであるのみならず、プロボノ活動に参加する個人にとっても他社の人材とも深く協働し、地域社会について学ぶ機会にもなります。

私は、米国のNPOの実態をより深く理解したいと考え、NPOサービスグラントの嵯峨代表の案内で、2011年1月11日から3泊4日の日程でサンフランシスコを訪ね、Taproot本社、サンフランシスコ・ボランティアセンター等を見学すると同時に、年一度開催されるボード・マッチの実態をつぶさに学ぶ機会を得ました。そもそも日米でのNPO活動を数字で見ると、米国においてはNPO活動がGDPに占める割合は、従業員数、資金循環を見ても10%見当であるのに比較し、我が国では1%以下です。

サンフランシスコ市の人口は百万人、一方、東京都は12百万人です。サンフランシスコのNPOの数は8,000社、東京は7,000社です。サンフランシスコ・ボランティアセンターが開催した2011年のボード・マッチにブースをもって参加したNPOの数は150社。ボードに参加したいと集まった市民の数は1,000人を超えました。2009年のマッチング実績によると参加したNPOの内73%が人材獲得に成功したとのことです。この驚くべき数字は、NPOが成熟している米国に於いても、資金調達、人事マネージメント、PR等の専門分野では人材不足があることを如実に示しています。勿論成功の裏には、仲介の労を取るボランティアセンターの裏方としての努力があります。ボード・マッチを実行するにあたっては事前に人材を求めるNPO側,ボードに参加したいと考えている市民側に事前研修プログラムを用意し、双方を指導しながらマッチング実績を年々増加させているのです。

さて、私は現役引退直後(2009年5月21日)から横浜の自宅にいる時には自分自身の記録として毎日日誌(匿名ブログ)を書き続け、既に6年が過ぎました。海外や国内を旅行中にはフェースブックを利用してブログを補完しています。ご参考のために上記SFのボード・マッチの見学記録についてのブログは次のアドレスでご覧いただけます。
http://blogs.yahoo.co.jp/toshi181127/archive/2011/1/17?m=lc
匿名ブログ自体は個人的な趣味や、生活を書いたものですから、お読みいただく価値はありませんが、タイトルの中で「DO IT PRO BONO」、「少し道草」のコラムは、夫々私自身の社会貢献活動に絡む話題、並びに自分自身の考え方を折に触れ取りまとめたものです。稚拙な文章ですが、お時間の在る方はご覧になって下さい。

私は現役時代の英国駐在18年の経験と英国と日本の社会の相似性から、英国のチャリティーやボランティア活動、そして近年盛んになってきたビジネスの手法を活用した“社会的企業“の在り方、キャメロン政権のイニシャティブによる、市民活動に専門的に資金供給する目的で設立されたビッグ・キャピタル、社会的インパクト・ボンド等について興味をもって勉強しています。日本では残念ながらこれまであまり紹介されることがありませんが、超高齢化社会を迎えた我が国では、「大きな市民社会」の構築が大切な社会課題であると考えています。いずれ機会があればこの辺りについても、私の「思い」について触れたいと考えています。

今回はシニアのプロボノ活動(企業社会で培った経験やスキルを利用した社会貢献)の在り方でもある、米国におけるボード・マッチについてSFで学んだことについて触れさせていただきました。日本のNPO市場の実態は欧米比まだまだ脆弱ですが、悲惨な東日本大震災等の経験等から徐々に我が国においても市民社会のあり方が変化しつつあります。このような望ましい方向を加速化させ、「大きな市民社会」を実現するためには国や自治体のインフラ整備はもとより、市民の意識改革が必要です。しかしながら、我が国ではボランティア活動の実態は女性が多く、特に公務員や大企業の幹部・役員は持てる経営能力を社会に還元することが著しく少ないように思います。プラチナ・ギルドの会ではこのような社会的な損失を少しでも減らし、一人でも多くのシニア世代がこれまでの社会経験を生かし、NPOの理事や顧問に就任し、経営を支援するボード・マッチの仕組みが構築出来ないか検討してみたいと考えています。